将来計画及び運営方針 257 平成16年4月から分子科学研究所は,基礎生物学研究所,生理学研究所,国立天文台及び核融合科学研究所と共に, 大学共同利用機関法人「自然科学研究機構」を構成して新たなスタートを切る。自然科学研究機構は,機構憲章にお いて,構成研究機関それぞれの創造的学術研究を尊重し対等の立場で機構の運営に参画することを謳うと共に,新し い学術研究のパラダイムを構築することを提唱している。現在の日本の基礎学術研究体制は決して満足すべきもので はなく,我々は,確固たる理念を持って,それぞれの学術分野コミュニティとの連携の下に,この状況を打破・改善 して行く努力を続けなければならない。分子科学研究所は,分子を要とした広義の物質科学における世界的拠点とし て,物理,化学のみならず,生命科学をも含む自然科学の多くの分野との連携・交流を広げつつ,「分子科学」の益々 の飛躍を図っていかなくてはならない。この様な情勢を鑑み,分子科学研究所の4月以降の管理運営体制,研究組織, 及び平成17年度概算要求事項に関して,概略以下の様な提案を行う。
(1)管理運営体制
自然科学研究機構における所長の役割が法人化以前の岡崎国立共同研究機構における所長の役割と大きく変わるた め,研究所内外の課題に対処する所長の補佐役として研究総主幹と研究連携室員を置くと共に,所長秘書を研究所に 設置する。11名の主幹・施設長は,運営会議のメンバーになると同時に,研究所における重要な役割(評価,広報,安 全衛生,労務など)を分担する。さらに,研究所に4名程度の運営顧問を置き,これを外部の有識者にお願いして今 迄の評議員的役割を果たして頂く。また,山手地区に統合バイオ以外にも多くの研究施設が移転することから,シャ トルバスを導入する等の措置によって明大寺地区との一体的運営に努める。
(2)超高磁場核磁気共鳴実験施設の構想
分子科学研究所には,平成15年度世界最高性能の 920MHz NMR 装置が設置されたが,更に,固体研究用付加設備が 平成16年度に導入されることが決定された。これによって,溶液及び固体の構造解析と機能開発において,世界に例 のない最先端研究の遂行が可能となる。その様なブレークスルー的研究を目指すと共に長期的視野に立った有意義な 全国共同利用研究設備構想を纏めていく必要がある。
(3)光分子科学研究センター構想
21世紀は光の時代と考えられているが,物質科学と並んで光科学は,分子科学にとっても極めて重要な分野である。 分子科学研究所は,分子制御レーザー開発研究センターと共に分子科学に特化した放射光施設を持つと言う世界に例 のない環境を有している。この優れた環境と今迄に積み上げて来た成果を基盤として,研究系との連携の下に,新し い光分子科学の展開を齎すべく新規に光分子科学研究センター構想を練り上げ,平成17年度概算要求としてまとめて 行く。放射光分子科学及びレーザー分子科学の世界における拠点としての発展を図るものである。
(4)研究系の整備
巨大計算に基づくシミュレーション分子科学の重要性に鑑み,平成16年度に計算分子科学研究系を立ち上げ,我が 国の計算分子科学の拠点研究系としての発展を図る。計算科学研究センターの現教員に加え,新規に教授1名と助手 1名を増員する。差し当たりは所内措置としての増員であるが,人件費の充当を含め平成17年度概算要求としてまと
5.将来計画及び運営方針
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めて行く。これに伴い,理論研究系を理論分子科学研究系と改名する。
分子スケールナノサイエンス及び光分子科学の新たなる有機的な研究協力体制を構築するために,センターを専任 部門と所内併任部門とに整理し直し,研究系をも含めた再編を近い将来に実施する。
現在の2流動部門を1部門(先導分子科学部門と命名)とし,今後柔軟に運用する。
(5)国際共同研究の推進
分子科学研究所は,多国間に跨る共同研究の重要性,多くの外国人研究者からの共同研究の提案,アジアの基礎科 学促進の重要性,等々に鑑み,分子研が主導権を持った形での多国籍に跨る共同研究体制構築の重要性を主張してき ている。平成16年度には,独自の予算措置により小規模ではあるが,国際共同研究を支援する体制を構築している。平 成17年度概算要求としても改めてまとめていく予定である。
(6)安全衛生体制及び施設整備
法人化後の安全衛生面の重要性に鑑み,研究所に安全衛生管理室を設置し,安全衛生委員長(主幹あるいは施設長 教授)がその室長を兼任する。室員として専任の助手1名を配置すると共に,若干名の研究教育職員と技術職員がそ の室員を兼ねるものとする。
計算科学研究センターの教員は計算分子科学研究系を併任し,同研究系の教員は計算科学研究センターの教員を併 任して同センターの管理・運営に責任を持つ。
装置開発室には専任の研究教育職員を置かず,研究主幹が室長を兼ねる。今後,装置開発室の運営体制を外部にも 開かれたものとしていく事を考え,その為の人的支援を検討する。
分子スケールナノサイエンスセンターの運営,ナノ支援事業の運営,及び 920MHz NMR の運営については,それぞ れに責任者を置くが,全体の統括を分子スケールナノサイエンスセンター長が行うものとする。
以下に各施設の現状及び将来計画の概略を纏める。